プロジェクトが目指すもの About All Minorities Project

マイノリティの人たちは、そうでない人々(マジョリティ)からの孤立を避けるために、マジョリティの社会に馴染むための努力をしています。その結果、マイノリティの人たちには、マジョリティの人たちに比べ、さまざまな精神的な負担がかかっています。果たしてそれは正しい社会の在り方なのでしょうか。

これは、そもそも社会通念や常識が、マジョリティの価値観の上に成り立っていることが要因のひとつといえます。マイノリティの例として「発達障害」があります。発達障害の人は、例えば、「ひとつのことにこだわる」「注意が(さして興味のない)人より、(興味のある)物に行きやすい」といった特性がありますが、その特性はマジョリティの常識によって、「頑固」で「気の利かない」「失礼な」「そっけない」人であると翻訳され、社会に歓迎されず、周縁に追いやられることが多々あります。

オールマイノリティプロジェクトでは、マイノリティの中でもまずは発達障害に着目し、発達障害の人の価値観をマジョリティ中心の社会に浸透させるための活動をします。具体的には、調査によって発達障害者の社会的孤立・孤独の成り立ちを明らかにします。次に、発達障害の人が日常的に浴びる社会的な偏見や差別である「マイクロアグレッョン」を解消するために、認知行動療法の理論を用いた「オールマイノリティアプリ」を開発します。

このアプリを、発達障害の人にかかわる人たちに実施し、効果検証を行います。さらに、マイノリティをテーマにした短編動画や漫画を作家らと共同で創作し、アプリやSNS等を通じて啓発します。

このように発達障害を皮切りとして、マイノリティの価値観への理解の促進およびマイクロアグレッションの減少を目指すことで、様々なマイノリティへの人権を尊重する、マイノリティが社会的孤立・孤独に陥らないフェアな社会の実現へとなげていきます。

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代表メッセージ Message from Representative

研究代表者(臨床心理士/公認心理師)

大島 郁葉 Fumiyo OSHIMA

千葉大学の子どものこころの発達教育研究センターの大島郁葉と申します。私は、臨床心理士/公認心理師で、認知行動療法やスキーマ療法といった心理療法を専門に、精神科を訪れる方に対して20年ほど心理的支援を行ってまいりました。特に自閉スペクトラム症の方を専門としています。自閉スペクトラム症のメンタルヘルスに関する心理的支援は、20年まえにはほとんど存在せず、現在までメンタルヘルス領域で無関心さを貫かれていました。その一方、自閉スペクトラム症は機能障害(「実行機能」や「心の理論」の障害など)の改善のトレーニングに注力している支援が多いことから、「自閉スペクトラム症は改善すべきものである」というメッセージを長い間かけて世間に浸透させてしまいました。このようにあまりにも長い間、自閉症を始めとする発達障害の人が抱える不適応は一般社会の中で「問題」と位置づけられ、単に発達障害その人自身の「欠陥」から生じると考えられてきました。そのため、多くの発達障害の人は自信を失い、メンタルヘルスに悪影響があることが複数の研究から分かっています。このような不均衡でアンフェアな、世間(マジョリティ)と発達障害の人たち(マイノリティ)の関係性はそろそろ変わるべきです。

本プロジェクトは、世間の片隅に追いやられて「ないもの」とされてきたマイノリティの価値観や規範をマジョリティが認知し、社会の中で両者の共存を目指すことを大きな目的としています。そうすることで、マイノリティの孤立・孤独を防ぎ、マイノリティであることを守られながら社会参加ができることで、メンタルヘルスの増進が可能となることに、本プロジェクトの最大の貢献があると考えます。

メンバー・参画機関・企業 Project Member and Participation

  • 千葉大学
    子どものこころの発達教育研究センター 教授
    博士(医学)・臨床心理士・公認心理師

    大島 郁葉 Fumiyo OSHIMA

  • 信州大学 教育学部 准教授
    博士(人間科学)
    臨床心理士・公認心理師

    髙橋 史 Fumito TAKAHASHI

  • 国立障害者リハビリテーションセンター研究所
    脳機能系障害研究部 室長
    博士(医学)・医師・認定産業医資格

    和田 真 Makoto WADA

  • 国立障害者リハビリテーションセンター研究所
    脳機能系障害研究部 研究員
    博士(心理学)

    井手 正和 Masakazu IDE

  • 千葉大学
    子どものこころの発達教育研究センター センター長
    博士(医学)・医師・公認心理師

    清水 栄司 Eiji SHIMIZU

  • 千葉大学
    子どものこころの発達教育研究センター
    特任研究員
    修士(人間科学)・臨床心理士・公認心理師

    管 思清 Siqing GUAN

  • 専修大学
    人間科学部 教授
    博士(医学)・臨床心理士・公認心理師

    国里 愛彦 Yoshihiko KUNISATO

  • 早稲田大学
    人間総合研究センター 招聘研究員
    博士(人間科学)・臨床心理士・公認心理師

    髙橋 徹 Toru TAKAHASHI

  • 帝京大学
    医療技術学研究科 大学院生
    修士(診療放射線学)

    辻 拓将 Takumasa TSUJI

  • (株)Awarefy 代表取締役
    学士(工学)・プロダクトマネージャー

    小川 晋一郎 Shinichiro OGAWA

  • (株)Awarefy
    マーケティング部 リーダー
    学士(社会科学)・デジタルマーケティング

    秦 正顕 Masaaki HATA

  • 浜松医科大学
    子どものこころの発達研究センター 特任教授
    博士(医学)・ 精神科医

    土屋 賢治 TSUCHIYA,Kenji

  • 千葉大学
    子どものこころの発達教育研究センター
    特任研究員
    博士(小児発達学)・臨床発達心理士・公認心理師

    本郷 美奈子 Minako HONGO

  • 千葉大学大学院医学研究院
    認知行動生理学 特任研究員
    精神科医

    田村 真樹 Masaki TAMURA

  • (株)Awarefy 取締役
    ソフトウェアエンジニア

    池内 孝啓 Takahiro IKEUCHI

  • 国立障害者リハビリテーションセンター
    脳機能系障害研究部 流動研究員
    修士(情報理工学)

    市川 樹 Itsuki ICHIAWA

  • 千葉大学
    子どものこころの発達研究センター 特任研究員
    修士(心理科学)

    高階 光梨 Hikari TAKASHINA

  • 浜松医科大学
    子どものこころの発達研究センター 特任研究員
    博士(小児発達学)・臨床発達心理士・
    公認心理師・社会福祉士

    加藤 健生 Takeo KATO

  • (株)LITALICO
    LITALICO研究所所長

    榎本 大貴

  • 一般社団法人みらいのいばしょ研究所
    代表

    代田 剛嗣

  • 一般社団法人UNIVA
    代表

    野口 晃菜

  • 相模女子大学人間社会科学部
    教授

    日戸 由刈

  • 信州大学医学部
    教授

    本田 秀夫

  • 千葉市発達障害者支援センター

  • 千葉大学
    特任講師

    浦尾 悠子

  • 千葉大学
    特任教授

    中川 彰子

  • 日本医療大学
    講師

    村上元

  • フリーランス

    佐藤 寛朗

  • フリーランス

    猪原 秀陽